この記事では『「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考』の要約をわかりやすくまとめ、私個人の感想や実体験などの振り返りをアウトプットしていきます。
- 『「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考』の要約と感想
- アート思考を身につけることで感じ方がどう変わるのか
- ぶっ飛んでるものが勝ちというわけではないと思う
- 「アート思考」な人と「アート思考でない人」の関係性
『「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考』の要約と感想
私たち日本人は小学校では「図工」、中学校では「美術」の時間に芸術とか美術とかについて学ぶ時間があるわけですが、小学校から中学校になるタイミングで「美術が嫌い」になる生徒が圧倒的に多いそうです。
それはなぜか。
「美術がよくわからないもの」になってしまうからなんですね。
小学校の時は思い思いのままに、いろんなものを好きに作ってOKだったのに、中学校になったら「自画像」やら「写生」を書かされ、よくわからないままに評価を受ける。
また「自分は絵が下手だなぁ」など思うようになり、「ま、美術なんてなくても進学には影響しないしどうでもいいか」という考えになっていってしまいます。
この義務教育の期間での「美術教育」で『アート思考』が身につけられなかった大人が
「アートってよくわからん」
となっているそうです。
しかしこの『アート思考』、身につけられるようになれば【自分だけの答え】を導き出せるようになるというのが本書の大まかな内容です。
アートは常に新しい思考を切り開いている
宗教画が生まれて19世紀のルネッサンスまでは、とにかく目に見えるものをそのまま絵で表現することが良しとされてきました。
その場にいるように感じられる奥行きや人物の肌質、表情などをとにかくリアルを追求してきたわけです。
アートが苦手な人だって、写真のようにきれない絵画であれば「きれいだね」と素直に受け止めることができますよね。この辺りまでは苦手意識をもたずに見ることができると思います。
しかし、カメラの登場によって、「写実的な絵画」はそのポジションをとって変わられてしまうんです。
そうなってくると、アートの存在意味はどうなるんだ?もうやれることはないのか?
そう思ったアーティストたちの戦いから「アート思考」学んでいくことができる1冊になっています。
- アートとは何か
- 表現とは何か
- 伝えるとは何か
そういった思考を、まだ誰も考えたことがなった方法で表現した6人のアーティストの作品を通して感じることができます。
「感じることができる」ようになるための「思考法」のヒントを本書から得ることができるわけです。
その考える力をつけるのが「アート思考」の根本であり、身についた「アート思考」は芸術鑑賞だけでなく、ビジネスやコミュニケーション・日常生活における「ものの見方」にも転用していける思考なのです。
6人の作品から何をどう感じるのか
本書で紹介される6人のアーティストはいわゆる「前衛芸術(アヴァンギャルド)」と言われ、いわゆる「アートが苦手な人」にとっては理解し難いものかもしれません。
- アンリ・マティス|緑のすじのあるマティス夫人の肖像
- パブロ・ピカソ|アビニヨンの娘たち
- ワシリー・カンディンスキー|コンポジションⅦ
- マルセル・デュシャン|泉
- ジャクソン・ポロック|ナンバー1A
- アンディー・ウォーホル|ブリロ・ボックス
6作品ともこれまで「アート」とされてきた考え方をぶち壊して表現されています。
- そもそも目で見えている色通りに絵画がなければならないのか?
- 正面・斜め・真横…いろんな角度から見えるものこそリアルなのでは?
- 具体的でないものを表現するには?
- アートは美しい物であるべき?
- アートは「なにか」を描くもの?
- そもそもアートとアートでないものってなに?
それぞれの意思を持って作成された作品に対して、とにかく思ったことをアウトプットする「アウトプット鑑賞」を繰り返しながら
- どう思ったか
- なぜそう思ったか
- 意図的に作品を見る角度を変えてみる
- 作品の背景を知り、何を感じるか
を考える力をつけることによって、「自分なりの答え」を導き出していくという思考力が高まるというわけです。
アートに苦手意識がある方でも、順を追ってアートに触れることができますし、本書にはワークとして
- 絵を描いてみるワーク
- 意見を出し合うワーク
などが散りばめられていますが、ワークを出しっぱなしにする他書と違い、実際にこの「アートの授業」を受けたであろう【生徒達】の生の声も掲載されています。
その中には「アートなど全く意味がわからないと思っているっぽい人」の意見や感想なども回見えます。
そうして読み進めていくうちにだんだんアート思考って自由だし、めちゃくちゃ身近なものに感じることができるはずです。
何も難しいことってないんですよ。
アート思考を身につけることで感じ方がどう変わるのか
「アート思考」を身に付けることで人生に置いて何が変わっていくのかと言うと、「自分で考える力」が身についていくと言えます。
あるアートを見て、
- これはなんだ?
- 何を表現しているんだろう
- 作者にはどんな背景があって、どう思ったからこの作品を描いたのだろう
- 受け取る人はどんな感じ方をするのかな
いろんなことを考える思考力をつけることができます。
答えのないものに対して、自分なりに考えた結論を導き出すことができるようになるんですね。
人に説明されたとおりに納得するのではなく「自分だけの答え」を導き出す力を身に付けられるようになると、ビジネスでもコミュニケーションでも応用して「自分で考える力」を使えるようになってきます。
と上司に言われた時でも、思考停止で機械的に作業をするのではなく、
- この仕事は何のためにするのか
- この仕事は誰のどんなことに役に立つのか
- 自分はこの仕事をすることでどうなるのか
- この仕事は社会のどんなことに貢献しているのか
を自然と考えられるようになるので、より能動的に・主体的に行動できるようになります。
コミュニケーションにおいても、今までは「○○さんが言ってたから~」と流されがちだったことに対しても、
を考えることが当たり前になってきます。
アートには直接関係のないことに対してもアート思考って応用することができるんですね!
ぶっ飛んでるものが勝ちというわけではないと思う
私、アートについてはちょっと思うところがあって。
私はアート作品を作る側だったことがあり(舞台芸術)その制作に携わっていたときによくよく感じていたことがあります。
それは、
- アートってなんでもアリなんでしょ
- ぶっ飛んだことしたやつが優勝
のような思考で作品作りをしているアーティストも少なからずいるということ。
確かにアートは受け取り手によっていろんな感じ方があるものだとは思うのですが、作家に何も考えのない「やればいいんでしょ」的な作品に思考を巡らせると、ちょっと馬鹿を見たように感じてしまう事もあります。
まぁ、そんなアーティストの作品は世に出てくることはないでしょうが。
中心には作家の意図があり、それを受け取る側の思考は自由であることが理想なのかなと思います。
「意味がわからない」を否定することはない
本書で紹介されている6つの作品を見たときに、正直「意味わからん…」と思ってしまう人も多いと思います。
しかし、その「意味わからん」を否定することも良くないのかなって本書を読んで改めて思いました。
アートを少し勉強した人の中には、アート作品を見て「意味わからん」という感想を持ってしまう人に対して
アートの見方わかってねーなm9(^Д^)
と、馬鹿にしてくる人もいます。これも「アート嫌い」を生む一つの要素だと私は感じています。
「意味わからん」も一つの感じ方だと思うし、「意味わからん」から
- 何故「意味がわからない」と感じるのか
- 逆に自分にとって「意味わかる」ものはどんなものなのか
を深掘りすることができれば、今の時点での「自分自身のものの見方」がわかってくるというわけですから、「意味わからん」場合も自信を持って
って言っていいと思います。
それもアート思考の一つですよね。
終わりに
私は「アート思考」というものをちょっと毛嫌いしていたところがあって、上にも書いていますが、「アート思考」な人は「アート思考でない」人の事を少し小馬鹿にしているような印象があったんですね。
その構図がどうにも受け入れられなくて「アート思考」自体に距離を取ってきたわですが、本書を読んで「アート思考」というものは、そこまで難しいものではなく、自分自身で探求の根を張り巡らせていく作業なんだということがわかりました。
「アート思考」を身に付けているからと言って威張れるものでもなければ、身に付けていないからと言って馬鹿にされることもないのだと客観的に感じることができたのです。
「アート思考」を身に付けることは自分自身で考える力や問題を解決する力が高まったり、探求の根を深く深く張り巡らせることによって、物事をいろんな角度から見る力が養われるので、仕事においても趣味においても、日常生活をしていく上で自分にとって全く損なことなどない、むしろ世界がより色鮮やかに見えるような気がしてわくわくするような感覚を得ました。
「アート思考」を苦手なまま放置するのではなく、思い切って本書を手に取って良かったなと感じました。